企業では合理化やリストラ、土地のオフバランス化が進み、最近ようやく業績に明るさが見えはじめてきている一方で、相変わらず個人は反対の方向に進み、喜んで借金して自ら苦境に向かう人がいっこうに減らないのです。
でも、不思議だとは思いませんか。
なぜ日本人はこれほどまでに住宅に対するあこがれが強いのでしょうか。
なぜこれほどまでに不動産を絶対のものだと信じているのでしょうか。
そして、それまでのような安い借家が消滅したために、日本人の考えが借家から持ち家へとシフトしていったのです。
もう一つは敗戦直後の無秩序な住宅政策です。
戦勝国、敗戦国ともに相当に激しいダメージを受けたヨーロッパでは、国が住宅の供戦前、都市では借地・借家が主流でした。
では、どうしていまのような日本人の持ち家志向がつくられたのでしょうか。
理由はいくつかあると思います。
一般的に言われているのは、戦中の住宅不足対策としてできた借地借家法の影響です。
これは賃借人(借りている人)の権利を強め、賃借人が借家から簡単に追い出されないようにするための弱者救済の法律でした。
この法律によって家主は安い借家ではやっていけなくなり、家賃を高くして自衛するようになりました。
「国を豊かにするためにはまずは産業の立て直し。
産業がうまくいけば、あなたの会社も豊かになり給料も上がる。
その上がった給料で家を建てなさい」という論法で、持ち家政策を行いませんでした。
そのため、あちこちでアナーキーに家が建てられていったのです。
こうしたことが持ち家志向のきっかけとなったのでしょう。
たとえばイギリスでは、当時の首相チャーチルが人間の尊厳を守ってくれる住宅は国家がつくるべきだと明言し、戦後すぐに公営住宅建設のための法律ができました。
しかし、日本では国を立て直すには第二次産業の復興が急務という政府の方針から、限られた財を石炭と鉄鋼につぎ込みました。
四○○万戸以上の家が不足していましたが、政府は国民に自力で家を建てることに力を注ぎました。
バブル崩壊までの戦後四○年間、日本の地価は一貫して上がり続けました。
土地・建物は所有していれば価値が上がり、キャピタルゲインをとれました。
地価動向を見ると一、二度の高騰があり、これが不動産信仰、そして不動産呪縛を確固たるものにしていったのです。
最初が一九六○年に発足したI内閣の「所得倍増計画」による地価高騰です。
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